肉の手帖
割り下から手作りの本格派! 牛肉のおいしさが際立つ “すき焼き”
すき焼きといえば、冬に食べたい王道の牛肉料理です。大きな鉄鍋で作れば、みんなで鍋を囲んでワイワイ楽しめるところがいいですよね。かつてすき焼きはお祝い事があるときに家族で食べたものです。作り方も簡単で、味付けも基本の配合はあるものの、状況に応じてその場で適宜好みにあわせて調節できるので、宴会やパーティーにはもってこいの失敗が少ない主役級のメニューです。
通常、すき焼きは関東風、関西風の2種類に分かれます。関東風は、肉を直接焼かずに酒・醤油・みりん・ざらめを合わせた割り下の中で煮立てて作ります。一方、関西風は牛脂を塗った鍋で肉を焼き、その後に醤油や砂糖を加えて味を整えます。
関東風は野菜の旨味が溶けだし、牛肉をまろやかにいただけるのに対して、関西風は牛肉を直接焼くため、牛肉の味がダイレクトに感じられ、お肉好きにはたまらない味わいとなります。最近では両方の良いところどりをして、関西風の作り方で作りながら、最後に関東風の割り下で煮込むやり方も広がってきました。
そこで、今回は関西風の作り方をベースに割り下を加えたすき焼きの作り方を紹介します。すき焼きの割り下は、配合済みの調味料がスーパーで売られるようになりましたが、ここでは割り下から本格的に作っていきます。
割り下から手作りの本格派! 牛肉のおいしさが際立つすき焼きのレシピ
材料(2〜4人前)
材料 | 分量 |
牛肉 | 500g |
えのき | 1袋 |
しいたけ | 1パック |
長ネギ | 1/2本 |
にんじん | 1本 |
白菜 | 1/4個 |
結びしらたき | 1パック |
玉ねぎ | 1個 |
割り下
材料 | 分量 |
料理酒 | 150ml |
みりん | 150ml |
醤油 | 150ml |
ざらめ | 30g |
その他
材料 | 分量 |
卵 | 人数分 |
作り方
1)最初に割り下を作っておきます。まず日本酒、みりんを小鍋に入れ、軽くかき混ぜて馴染ませます。次に一気に強火で煮立たせます。煮立てることでアルコールの臭いを飛ばすので、アルコール臭さがなくなるまで加熱しましょう。
2)煮立ったら、いったん火を止めてしょうゆとざらめを入れます。こちらも軽くかき混ぜて馴染ませ中火で温めます。ときおりお玉でかき混ぜてざらめの溶け具合をチェックします。ざらめが溶けてしまえば火を止めて完成です。割り下は、すき焼きを鍋で煮るときに使うので、それまでいったん置いておきます。
【ここがコツ!】
ざらめがないときは、砂糖でも代用できます。ですが、ざらめの方がコクが出るので、ざらめを使った方がおすすめです。
割り下の量を増やすときは、料理酒、みりん、醤油を同じ割合で増やすといいでしょう。料理酒の代わりに日本酒を使うこともできます。
料理酒と日本酒の最大の違いは塩分が入っているかどうかです。料理酒は入れれば入れるだけ塩辛さが増すので入れすぎは注意しましょう。すき焼きを加熱するうちに汁気が煮詰まってきて、味が濃くなってくるときがありますが、その時は水か日本酒で薄めましょう。
3)次に材料を切ります。
えのき
石づきを切り落とし、あとは手で食べやすい大きさに割ります。汚れた部分は水洗いせず、水で濡らしたペーパータオルで軽くふき取ります。
しいたけ
しいたけは石づきだけを切り落とします。
こちらも汚れた部分は水洗いせず、水で濡らしたペーパータオルで軽くふき取ります。カサの部分に十字の切り込みを入れましょう。鍋の中で煮立てているうちにこの十字の部分が開いてきて見栄えよく仕上がります。
【ここがコツ!】
キノコ類は水洗いすると香りが飛んでしまうため、ペーパータオルで汚れを拭いてそのままで使うようにしましょう。しいたけの軸には旨味がたっぷり詰まっているので、硬い石づきのところだけを切り落とし、軸ごと調理するといいでしょう。
にんじん
にんじんは皮をピーラーで剥き、2cm幅に切ります。切ったものは包丁で十字に切れ目を入れ、切れ目の角を切り落として凹凸をつけた飾り切りにします。裏も同じように飾りを施します。そうすると見た目も華やかになりますよ。
白菜
白菜は根元を切り落として、一口大になるように切ります。白菜は水分を多く含むので、最初は嵩が高くても、煮立てているうちにだんだんと水分が抜けて小さくなっていきます。
焼き豆腐
焼き豆腐は食べやすいように4等分に切ります。子供がいるご家庭なら子供が食べやすいように8等分に切り分けてもいいでしょう。
【ここがコツ!】
焼き豆腐が手に入らない時は、普通の木綿豆腐でも代用できますが、焼き豆腐の方が味が沁み込みやすく崩れにくいため、すき焼きには焼き豆腐の方がおすすめです。
長ネギ
2cm幅の斜め切りにします。ネギは根元に近い白い方が甘く、緑色の方が辛くなっています。特に白い方を斜め切りすることで、表面の食感と内部の食感を同時に楽しめるようになります。
玉ねぎ
玉ねぎは半分に切って、スライスします。スライスしたら耐熱容器に入れてラップをし、600Wで3分加熱します。
【ここがコツ!】
玉ねぎは火が通りにくいので、あらかじめレンジで加熱しておくと、味がしみこみやすくなります。また、玉ねぎは牛肉が固くなるのを防ぐ効果があるので、すき焼きにはなるべく入れるようにしましょう。
結びしたらき
しらたきはお湯で下ゆでします。鍋にお湯を沸かし、沸騰したら茹でてザルにあげておきます。
【ここがコツ!】
結びしらたきは、他の具材としらたきが混ざらないようにするため結んでいます。結んでいるものも結んでいないものも、すき焼きにはどちらを使ってもかまいませんが、どちらも同じように扱います。しらたきはあらかじめ茹でておくことで独特の臭みを取ることができ、味も沁み込みやすく食感もよくなります。
4)食材を加熱します。
まず長ネギ、玉ねぎに焼き目をつけます。鉄鍋を火にかけながら牛脂を塗っていきます。熱によって牛脂が溶けて油になっていくので、十分に脂がいきわたり少し煙が立ってきたら長ネギ、玉ねぎを入れて焼きます。焼き色がついたら、いったん鍋から取り出します。
【ここがコツ!】
長ネギ、玉ねぎは焼き色をつけておくと香ばしさが増すため、先に焼いて焦げ目をつけておくといいでしょう。また、玉ねぎは油に香りを移す役割もあるので、牛肉より先に焼いておくといいでしょう。
5)次に、長ネギ、玉ねぎを焼いた鍋で牛肉を焼きます。
赤色の牛肉は火が入ると茶色に変わりますが、すべての牛肉が茶色に変わる前の少し赤みが残っている段階で割り下を入れましょう。あまり強火で焼くと肉が鉄鍋にこびりついてしまうので、中火ぐらいでじっくりと焼いていきます。
【ここがコツ!】
牛肉がしっかり焼けてから割り下を入れると、肉の加熱時間が長くなり、牛肉が固くなる原因にもなります。そこで、まだ牛肉に火が通りきっていない段階で割り下を入れるようにしましょう。
6)割り下を入れたら、白菜、にんじん、えのき、しらたき、焼き豆腐、しいたけを入れていきます。野菜類は加熱によって水分が抜け小さくなっていくので、はじめは鉄鍋から少し溢れるくらいの大盛りに載せるといいでしょう。
【ここがコツ!】
割り下の量が少ないと感じても、白菜から水分がたくさん出てくるため、出来上がりにかさが増えます。心配して、割り下を増やさないようにしましょう。
7)さらに、長ネギ、玉ねぎを入れます。そのまま蓋をして中火で10分弱煮込みます。
全体に味がしみこんでいれば火から下ろして完成です。
完成
溶き卵に絡めてお召し上がりください。