肉の手帖

交雑種も正真正銘 “和牛” です。和牛6種類の定義について

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和牛の定義

以前ネット上で、和牛肉を提供されている焼肉屋さんのお肉が交雑種だったため、不当表示ではないかと気にされている方をお見かけしました。

結論、交雑種(正確には和牛どうしの交雑種)は和牛のため、不当表示ではありません。ただ、和牛=黒毛和種のイメージが強すぎるせいか、あるいは品種名のためか、交雑種も和牛であることはなかなか浸透していないようです。

交雑種とは

交雑種とは、異なる品種の牛どうしを交配して生まれた牛たちで、F1(エフワン)とも呼ばれます。代表的なのは、黒毛和種と乳用種(ホルスタイン種)のかけあわせですが、異なる品種の和牛どうし(黒毛和種と褐毛和種のように)を交配することもあります。

和牛は全部で6種類

和牛の定義は、景品表示法に基づく「食肉の表示に関する公正競争規約」の中で、次のように定められています。

第4条 小売販売業者は、表示カード、看板、ちらしその他の表示媒体又は商品の陳列により、次の各号に掲げるような表示をしてはならない。
(中略)
(4)施行規則で定める品種以外の牛の肉を「和牛」の肉と表示すること又は「和牛」の肉であると誤認されるおそれがある表示をすること。
(引用:食肉の表示に関する公正競争規約 第4条 第4号

この冒頭に書かれている「施行規則で定める品種」とは、次の6種類です。

規約第4条第4号の「施行規則で定める品種」とは、次の6種に限るものとする。
(1)黒毛和種
(2)褐毛和種
(3)日本短角種
(4)無角和種
(5) (1)~(4)の品種間の交配による交雑種
(6) (5)と(1)~(5)の交配による交雑種
(引用:食肉の表示に関する公正競争規約 施行規則 第10条 第2項

いわゆる和牛4品種(黒毛和種、褐毛和種、日本短角種、無角和種)はもちろん、その4品種どうしの交配で誕生した交雑種も、しっかり和牛として定義されています。

ただし同じ交雑種でも、和牛と乳用種を交配した牛は、和牛にあてはまりません。

表示に関するガイドラインについて

また2007年、農林水産省は「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」を定めており、この中で和牛と表示できる牛を以下のように整理しています。

  1. 国内で出生し、国内で飼養された牛である
  2. 家畜改良増殖法に基づく登録制度等により、先の6種類に該当すると証明できる
  3. 牛トレーサビリティ制度により、先の6種類に該当すること、および国内で出生し、国内で飼養された牛であることが証明できる
    (参照:農林水産省「和牛等特色ある食肉の表示に関するガイドライン」

図にすると、このようなイメージです。

和牛の定義

ここで、皆さんの牛肉選びとも関係が深い「牛トレーサビリティ」による証明について、簡単にふれておきます。

牛トレーサビリティによる証明について

牛肉の生産に携わる農家など関係者は、牛が生まれてから流通するまでの経歴(どこで生まれたのか、どこの牧場で育ったのか、どこのと畜場でと畜されたのかなど)を、すべて所定の機関に届け出なければなりません。

この経歴情報は、家畜改良センターという機関が持つデータベースに保存されていきます。このデータベースを参照して、先に挙げた6種類に該当するか、日本で生まれ育ったのかを確認できれば、和牛として証明されます。

このデータベースには一般の方もアクセスできるので、皆さんも購入した牛肉のラベルに書かれている個体識別番号から、その牛の生まれ育った国や地域、品種などを調べられます。つまり、ご自身で和牛かどうか判断できるのです。

やり方を知りたい方は、よろしければ以下もご覧ください。

牛肉の個体識別番号から分かること。個体識別情報検索サービスの使い方

和牛と国産牛の違い

和牛と国産牛には違いがいくつかありますが、大きいのは、

  • 和牛:日本で生まれ、日本で飼養された牛
  • 国産牛:日本で最も長く育った牛

という点です。

国産牛というのは品種とは違う分類のため、和牛でもそうでない牛でも該当する可能性があります。どこの国で生まれていても、日本で最も長く育った牛であれば、国産牛として表示できます。

ここで簡単なクイズを。アメリカで生まれ、6ヵ月ほど育てられ、その後に日本へやってきて12ヵ月ほど育てられた牛がいたとします。この牛のお肉が販売されるとき、国産牛と表示できるでしょうか?

正解は「できる」です。この牛は日本で最も長く育てられているので、国産牛の表示条件を満たしています。

国産牛の定義について詳しく知りたい方は、よろしければ以下もご覧ください。

外国生まれでも “国産牛” と表示できる。国産の定義を理解しよう。

このように、交雑牛も列記とした和牛です。ぜひ和牛として、おいしく楽しんであげてください。

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